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CONTEXT DESIGN WORKSHOP - 書体ともの

2009.8.9.

コンテクストデザインワークショップ
書体ともの

@NPO法人東京自由大学



ゲスト講師:仲崇霖(書家・アートスクール銀座書画研究員書画講師)




文字とは何だろう。
篆書体を見ているとそんな疑問がわいてくる。篆書体は、古代中国の文字。
古い文字は、単なる記号ではなく形に力がある。篆書体は、漢字の先祖であり、古代中国の象形文字と隷書をつなぐ中間的な形である。
丸みを帯びておおらかなその書体は、どこかにその意味の原型であるものそものの力や存在感を残しており、ものの息吹を伝える。

文字のカーブや飛び出し方、配置などはその文字のセンスであり、その文字の世界に対する判断力である。そんな篆書のセンスのまま、実際に使えるモノへと文字的な造形を立体化したらどんな道具になるだろうか。

そんな思いからこのワークショップはスタートした。

仲先生ははじめに大きな半紙をホワイトボードに貼って、筆で板書を始めた。まずは篆書の特徴をつかむことと篆書の練習である。

「走」という字は、人が走っている姿と、その足跡(止まるという字は足跡の象形)からできているという。
 けれどもそれを知ることは知識であって、重要なのはその造形である。くにゃりと曲がった感じ、筆の弾力性を活かして描いた赤ん坊のような太く柔らかな感じ。野生そのものではなく、少し整理され様式化された感じがうかがえる。曲線は野生の表現でもあるのか。

ある程度、篆書の気持ちに体が馴染んできたところで、今回の目的である文字の立体化にとりかかる。

参加者は、はじめ生活の中の道具、例えば、ポットや台や文具などをイメージする。と同時にそのもののシルエットを篆書体の気持ちになって、その造形スタイルで、文字のようであると同時に絵のような感じで描く。
それを型紙にコピーして発泡スチロールに貼り、ニクロム線カッターで切りだす。
気がつくと文字が立体になっているばかりか道具になっている。

今回のワークショップを一言でいえば、「使える文字!」である。しかしこれは文字を文字として読むために使うのではなく、生活の中で使える道具が、文字のようなエネルギーを醸し出しているという意味で「使える」と言っているのだ。


これは文字風のデザインをあしらったというようなものではなく、装飾と力の古い時代にあった関係にも迫るような試みである。付け替え可能なただの飾りとしての装飾ではなく、呪力をもった力の源としての装飾と文字と図像の境目を旅するデザインである。

古代文字には実に驚くべき造形のものが多いのと同時に、全く遠く離れた地域の文字同士が、シンプルな形状においては大変よく似た形をしているということに人間のイメージレベルでの共通性を感じる。

ヒエログリフ、イースター島文字、クレタ島文字、マヤ文字、神代文字、ひふみ文字、楔文字、甲骨文字などさまざまな魅力的な文字がある中で、篆書は、現代の文字と深古代の文字をつなぐ、記号化された文字と象形文字の中間にある文字にように思える。またその曲線のセンスが面白い。


そんなわけで今回は篆書という文字にフォーカスして、ものを「概念化すること」と「書くこと」と「描くこと」と作ることをつなげるワークショップを行った。


文字には、イメージや概念を限定し定着する働きもあり、そこからイメージや概念を喚起する働きもある。その両義性も面白い。

そして何より文字は形とイメージと機能を体現するものとして、道具の究極の姿であるともいえるのではないだろうか。


そんな文字の成り立ちに立ち会うには、文字を書き、描き、作ってみるのがいい。うまい字を書こうとするより、心をこめてただ書く、ただ作る、そのプロセスを味わう中に生き生きとしたものが出てくるという仲先生の言葉が印象的であった。
| コンテクストデザイン | 23:12 | comments(0) | trackbacks(0) |
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